香しきチラ裏

香しきチラ裏~オタクで頭が発酵した人間が語るだけの簡単なお仕事

2012年11月24日土曜日

音楽とか

もうすぐ初の個展をやるんだけれど、緊張とか焦りとかで煮詰まってきたので本当久々に息抜きがてらブログることにした。

さて何を書こうかな…。
そうそう先月仲間内の観光ツアーに行ってきた。
自分の町やら隣町やらを観光するという不思議な気分に浸れるツアーだった。
そんで移動は誰かの車に乗っけてもらってだったんだけど

その車内でした会話の話。

3人で後部座席に乗っていたのだけど、その2人と私は初対面で何を話したもんかと思いつつ
とりあえず笑っとけと私は心の中でニコニコしていた。
それでまあ隣町といえど広い青森だ、結構な時間車内ですごしていた。
ぽつぽつ会話をしながらその二人を観察してみた。
私と年の近い男女だ。
女性のほうは下北あたりの訛りの、きれいな女性だった。舞台女優さんらしい。
男性のほうは中学の同級生の福士君に似ていた。

私が真っ赤に燃える山に感動していたあたりで普段なにを聞いているのかと女優さんにきかれた。
彼女は普段落語を聞いているらしい。ちなみにわたしは楽譜も読めないくせにエレクトーンをやっていた影響か、電子音がピコピコしているような曲が好きだ。

それで、何で落語をきいているのかというと、音楽を聴いている時間がもったいないかららしい。
まだ洋楽のほうが言葉がわからずとも伝わってくるものがあって、最近の曲は歌詞も薄っぺらで
何が言いたいのかわからないものが多いと彼女は感じるというのだ。
私はそうやって自分の聞きたいものを区別することなく選ぶ彼女がすごくいいなと思った。

「というか、最近どったら曲がでてんのかしらねぇしな」
確かに最近は昔と違ってみんなが聴くというような曲がない気がする。
それでまあ、オタクでピコピコな曲が好きな私は、
「最近じゃ機械が歌っている曲も多いんですよ」
とか答えてみる。
もちろんどういうこと?となる。
「そういう音声ソフトがあって機械が歌うんですよ」
初音ミクとか、やはりすべての人に浸透しているわけではないようで、
ミクや、それの活躍の場である動画サイトについて自分の知っている範囲で詳しく説明を試みたら、彼女は信じられないというような顔をしてぽつりとこうつぶやいた。
「歌すら人がうたわねぇとは…怖ろしい時代になったもんだな…」
あらためていわれてみると確かにそうだ。

そのころ私は大野松雄さんという人のドキュメンタリー映画をみた直後ぐらいで、電子音楽というのが気になっていた。この映画は私の好きな監督である富永昌敬さんが取ったもので、大野さんはアトムの足音を作った人らしい。
大野さんがどんな人なのかということを昔一緒に働いた仲間にインタビューしながら本人に近づいて行くという内容だったが、そこから派生する言語のリンクは興味深いものばかりだった。
昔バイト先で展示に関わった小杉武久さんのことも話題にあがっていた。
彼の展覧会は一見雑音ばかりなのに、1時間もその場にいると眠くなってしまう。体は心地良い音だと認識してるのかなと、不思議になった記憶がある。
大野さんもその仕事はアニメの音響を作ることで、一般的な音楽はつくっていない。
映画の中で話されていた話題に、曲や作画をした人はクレジットに名前がでるが、音響はでないという話がでていた。
それはひどい扱いだなと思う。それだけ軽んじられていることなんだと思う。
しかし、出てくる人が、これは俺が作ったという音をきくと、これはあのアニメのあの音だとすぐに認識できてしまった。効果音にも個性があるのだ。
例をあげればたらちゃんの足音とか。
今まで私も効果音なんてボタンひとつで出している程度の認識で、作っている人がいるなんて考えたこともなかった。そこに確かに別の世界が広がっているのだ。
大野さんは70だか80を越えた今でも、音をつくりだしている。
それもアニメの世界を離れて。
映画製作を通して知り合った障害者施設に現在の大野さんの仕事場があるのだ。
自分の仕事や居場所を自分の意思で持って獲得してきた人間に、私は尊敬の念をおぼえる。

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